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2004年9月16日

薔薇はそう呼ばれずとも、香りを放っている

薔薇の名前 特別版
薔薇の名前 特別版

 ついにDVD化というところだろうか。記号学者ウンベルト・エコによる多重な読み方が可能な原作を、エンターテイメントに翻案しながらも、十分に雰囲気を伝える作品となっている。中世の修道士たちの姿にまったくといっていいほどなじみのない日本人(もちろん私を含む)の場合、この映画を見てから原作を読んだほうが理解しやすい。

 陰鬱な修道会の風景、存在していた幻の写本、秘匿された迷路のごとき図書館、拷問と火刑の異端審問、美しかったクリスチャン・スレーターなどといったものに彩られ展開する、純粋すぎる信仰ゆえ殺人劇。倒錯的な雰囲気と謎解きの面白さで観客を惹きこむが、そこに昨今の国際テロやオウム事件との共通性も見出せ(原作ではなおいっそうその傾向は強い)、単なる推理物に終わらない魅力を放つ良作である。

投稿者 黒川鍵司 : 2004年9月16日 15:14

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