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2004年12月25日

ヴィム・ヴェンダース コレクション

ヴィム・ヴェンダース コレクション
ヴィム・ヴェンダース コレクション

 このボックスセットの中で、私が見たことがあるのは「ベルリン・天使の詩」だけだ。正直、ヴィム・ヴェンダースの映画にはピンと来ないものが多かった。「時の翼に乗って」も「夢の涯てまでも」もどうもしっくりこなかった。しかし、この映画だけは別だ。コミュニケーションの断絶とその回復の過程を、壁によって引き裂かれたベルリンを舞台に描いた物語はもちろん、ペーター・ハントケによって紡がれた珠玉の言葉の数々に感動を覚える。そして何よりも、この映画に説得力と幻想の力をあたえるアンリ・アルカンのカメラワークは至高とすらいえるだろう。

 オープニングでの、ベルリンの街を俯瞰し、子供たちの姿を追い、障害を持った子供の瞳を見つめ、その子が並べたおもちゃの列を追っていくカメラは、まさに天使の瞳。

 そしてクライマックスのニック・ケイヴのライブ会場で、断絶の世界に取り残されたまま壁にうなだれるカシエルの姿。照明の切り替わりにあわせて、彼の横顔が壁に投げかける影が、いつまでもいつまでも堕ちていく。そのモノクロームの映像に映し出される痛々しい孤独。見事としか言いようがない。

 失われたポツダム広場を捜す老詩人、夢でであった男を捜す女、生まれ変わってはしゃぎながらも何か足りないものを捜す男。見えない天使に握手を求める元天使。どれもこれもすばらしく、それまでの私の中のヴェンダース評を、まったく覆してしまった作品である。

 このボックスに収録された作品の個別販売はあるのだろうか? いまのところ、そのような告知はない。1作品のために買うには、ちょっと高い気はするが、他の作品も試せるのだから良しとすべきか。

投稿者 黒川鍵司 : 2004年12月25日 22:17

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コメント

 こんにちは、以前にも書き込みましたが、名前が違っていたかもしれませんので、とりあえず初めまして。「ベルリン天使の詩」は本当にすばらしい作品ですね。僕は他のヴェンダース作品も好きですが、確かに映画として完成度の高いものは少ないかもしれませんね。何はともあれ、「ベルリン」が最高傑作であることは間違いないでしょう。
 そういえば去年はヴェンダース本人に幸運にも出会うことができました。18歳のとき初めて「ベルリン」を見て以来の大ファンでしたから、握手してもらったときは喜びと緊張で死ぬかと思いました。
 今年も良い年にしたいと思います。

投稿者 必殺管理人 : 2006年1月 1日 20:30

 そのお名前を覚えていますよ。下記のエントリーでサイトを褒めていただいた方ですよね?
http://www.ashrization.com/mt/archives/2005/06/post_81.html
 
 あの「ベルリン天使の詩」は奇跡でしょうね。壁の崩壊直前というタイミングも、アンリ・アルカンがカメラを担当したということも、ペーター・ハントケが脚本に参加したということも全てです。

 ヴェンダースにお会いになった! すごいなぁ。その緊張感すごくわかります。私も10代の頃さんざん聴きつくしたアルバムを作ったアーティストと初めて対面したときは喉は詰まるは、手は震えるは大変でした。今も新年のメールをくれるぐらい気さくな人なんですけどね(笑)。

 1年以上前のエントリーにコメントがあったのでちょっとビックリしました。で、ちょっと気がついたのですが、去年のクリスマスイブは魔女を扱った映画を取り上げて、その前のクリスマスに天使を扱った映画の話をしているのですね。偶然とはいえ面白いなぁと思いました。

 どうぞ、この一年をよい年にして下さいませ。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年1月 1日 23:02

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