2005年4月15日
ULTRASONE HFI-500DJ1 PRO-line(ULE)
ヘッドホンメーカーには50年以上の歴史をもつブランドが多い。ゼンハイザーは1945年創業、AKGは1947年、KOSS、GRADOは1953年。そしてベイヤーダイナミックに至っては1924年創業である。そんな中、1990年創設のウルトラゾーネ(ULTRASONE。ウルトラゾーンと読む場合もある)は新興ブランドといえるだろう。
どんな分野でも新興ブランドは、今までにない機能を売りにする場合が多い。ウルトラゾーネもそれに漏れず、頭外定位のS-LOGICと電磁波カット技術のLE、ULEを売り物にしている。

さて、今回購入したHFI-500DJ1 PRO-lineだが型落ちであるため、現在発売されている通常のDJ1よりも安く買えた。そうでなければ、わざわざ、これを買う必要はないだろう。ハウジングの形状、カラーリングもまるっきり同じで、外見上の差といえば、「ULE」と書いたシールが貼ってあるかないかでしかない。もちろん、電磁波をさらにカットしているのだろうけど、音には基本的に差はないはずだ。電磁波による健康被害の有無も実際のところどうかわからない。つまり、差は、ほぼ気分の問題である。
現在、PRO-lineシリーズでは、ハウジングの形状が平たくなり、ケーブルやら換えのパッドやらを同封されるようになった。目に見えない電磁波のカット率だけでは値段分の差別化が図れないという判断に基づいての変更だろう。
肝心の音だが、よく言えば「歯切れのいい」「タイト」、悪く言えば「味気ない」「物足りない」となるだろうか。音の立ち上がりの反応はよいし、輪郭もハッキリしている。しかし、それゆえにタイトで音のふくらみがなく、余韻を感じさせない。80年代以降のロックやポップスでは、この特徴が良い方向に作用する場合が多い。いわゆるテクノやハウス、トランスの類も同様で、「E2-E4」に似合うヘッドホンが欲しいという願望も満足させることができた。デビッド・ボウイの「レッツ・ダンス」、ザ・パワー・ステーションの同名アルバムなどにも良くあう。しかし、同じボウイでも「ジギー・スターダスト」は聴けないわけではないが、覚めた味気ない音になってしまう。総じてGRADO系に似合いそうな音楽には向いていない。また、クラシックやジャズも聴けないわけではない。テンポの速い曲であれば、結構楽しめる。しかし、余韻に浸るような聴き方はできないし、ソプラノ歌手が高い声を伸ばして歌うような場面があると、途中で音が揺らいだり、引っ込んだように聞こえたりすることもある。
DJという名前からも期待されるだろう低音、重低音は、音源にそれが含まれていれば出る。含まれていなければ出ない。ゆえになんでもかんでも重低音がドカドカ鳴ってないと気がすまないという人には薦めない。出る低音は量も低さも十分だがタイトで、KOSSのThe PLUGのデフォルト状態で聞かされる膨らんだ低音ではない。なので、低音が強く出ても、他の音を隠してしまうということはほとんどない。
それ以上に最初に印象に残るのは高音部ではないだろうか。立ち上がりの反応の良さが裏目に出て、シンバルなどのアタックの強い高音あると耳に痛いことがあるのだ。これを利点と考えれば、高低幅広く音を出してくれ、どの音も明確だ、ということになるだろう。私自身も音源に正直で、わかりやすい音を出してくれていると思っている。私が所有しているヘッドホンでは、最もモニター的な音だといえるかもしれない。
売り物の頭外定位は、それほど不自然ではない。音場が広大というわけでもないことが不自然さを感じさせない理由かもしれない。外耳に音を当てて立体感を出す方法だというから、もしかしたら、人によって(耳の形によって)はもっと違う感じ方をするのかもしれない。私の場合、どういうわけかK26Pと似た定位になることがある。K26Pが頭外定位を売りにしているなんて聞いたことないが、もしかしたら耳乗せ式であるために多少角度がつき、発音部の奥行きが他の耳乗せ式のヘッドホンよりも深いことでS-LOGICと似た効果を出すことがあるのかもしれない、と勝手に考えたりもしている。
電磁波の件はやっぱり体感できるものではないようだ。プラセボ効果で健康に良いような気はするけれど、他のヘッドホン同様、聴き疲れはする。
HA-1Aとの相性だが、ブラウン管の動作音(※)のような高いノイズが聞こえることがある。他の能率の良いヘッドホンで聴いても、このような音はしないので、私の所有するHA-1Aとこのヘッドホンとの相性だろう。音についても、あえて真空管アンプを使う理由を感じない。真空管特有の厚みや、丸みが良い効果をもたらす音の傾向ではないからだ。むしろCD5400のヘッドホン端子、HD51のほうがしっくりくる。
多少、音のパワーが落ちる気がするがiPodなどのポータブル機器で聴くのも悪くない。密閉型なので電車内などでも使用可能ではある。しかし、カラーリングと背面のロゴがかなり目立つので、それに似合う服装でないとヘッドホンだけ浮いてしまうだろう。私はDJ系の方とは、程遠い服装なので、あくまで室内用である。
※テレビなどが動作しているときに聴こえるノイズ。非常に高い音で擬音にしづらいのだが「ツーン」とか「シーン」といった感じの音。聴こえない人もいる。
投稿者 黒川鍵司 : 2005年4月15日 16:40
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コメント
レポートご苦労様です。参考になりました。
やはり傾向は同じみたいですね。う〜む、真空管を合わせてもダメなのですね。まあ、この硬さは結構気に入っているのですが。
しかし、ゾネのヘッドホンはULE、S-Logicなど触れなければならない点が多くて長文になりがちですね。(苦笑)
投稿者 T. : 2005年4月15日 20:05
すっかり長くなりました。各メジャーブランドの創業年なんて、どうでもいい情報も調べちゃったものですから。
モニター用ヘッドホンをリスニング用にチューニングした物というT.さんのご感想は、DJ1を聴いた私も同意できます。ですので、この記事も多少はお役に立てるかと思います。丸みを持たせるためであればHA-1AよりもラックスマンのP-1とあわせた方がよさそうに思っています。
アタックの強い高音については、昨日ゆっくり試聴したEdition7も同様でしたのでゾネ全般に共通するようです。これを痛いと判断するか、再現性が高い、反応がよいと判断するかでゾネへの評価が変わりそうですね。
投稿者 黒川鍵司 : 2005年4月16日 00:28

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