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2006年7月 9日

Goldring DR150

goldring_dr150.jpg
 英国Goldring社はレコードプレイヤーのカートリッジの分野では老舗といえるメーカーであるが、その他のオーディオアクセサリーも手がけている。このDR150は同社が扱うヘッドホンでは最上位、俗にいうフラグシップとなっている。

 外見はなかなかスタイリッシュで現代的。デザインの方向性としてはゼンハイザーのHD595、555に近い。ただし、実機をもってみると剛性がもう少し欲しい様に思える。装着感は及第点といったところ。もう少しパッドに柔らかさが欲しいし、バンドの長さがもう少し欲しい。バンドの長さに関しては人によっては致命的だと思うので、可能な限り試聴は行うべきだろう。

 ケーブルは片出し。取り外し可能で、接続部分はステレオミニジャックとなっているので、他のケーブルに換えて音の変化を楽しむ事もできるかもしれない。しかし、元々のケーブルがQED製の純銀コート5N・OFCとかなり良質なので、音質の向上を望んでの交換は難しいかもしれない。また、このデフォルトのコードはそれなりの太さがあるが、柔らかく、取り回しも良いことも付け加えておく。

 今回はSA-17S1のヘッドホン出力を用いてみたのだが、リファレンスにしたHD580にくらべると全体的に音が明瞭。しかし、今一距離感、遠近感がない。HD212PROに比べればずっと増しなのだが、つるりとした感覚がある。これはいわゆる現代的な音という奴だろうか。この傾向のため陰影感が希薄に思える。情報量そのものはHD580とそれほど遜色はないと思えるが、情感の部分で劣っている様に感じるのはこのためだろう。低音は見た目のイメージよりも良く出る。タイトというほど締まってはいないし、包み込まれるというほど広がりもせず、ちょうど良いといえそうだ。中高域はフラット気味なのだが、高音域には、音が急に刺激的になる癖がある様に感じられる。特にそれが顕著なのはバイオリン、ビオラ、もしくは高音よりの管楽器の音が伸びるときで、女性ボーカル、シンバルなどでも感じられる。

 では、あう音楽は? ということになるとおもうのだが、クラシックの場合、スピードのある曲では切れの不足が感じられる。ゆったりとした曲は悪くないのだが、時々、上記の高音の癖が現れて耳障りに感じられる瞬間があるし、距離感の不足が大きく影響してしまう。おそらくジャズでも同傾向だろう。

 同じ英国だし、ものは試しと思って聴いてみたレッド・ツェッペリンの4枚目、クイーンの「A Night At The Opera」などは、これらをリファレンスとして作成したのではないかと思える程よく似合う。前述の高音域の癖もむしろアクセントになって力強さが加わり、気持ち良く聴ける。マイブラッディ・バレンタイン「LOVELESS」だって悪くない。打ち込み系になると、クラシックでも問題なった切れの不足と距離感のなさが問題になってしまう。ここら辺はGRADOのヘッドホンに近いと言えるかもしれない。

 以上はあくまでフラグシップとなるヘッドホンへの評価となる。1万5千円程度で購入可能なヘッドホンであることを考えると、ほぼ全てにおいて合格点を与えなければならないだろう。このレベルのヘッドホンとしては他に比べ安すぎるのだ。もちろん、消費者の一人として安いということは嬉しく思うのだが、昨今あった価格破戒なるもの鑑みると、複雑な気分になる。結果として、価格破壊なるものがもたらしたものは全般的な質の低下であった様に思えるからだ。オーディオにおいてまで、それが起きて欲しくないと思う。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月 9日 16:00

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コメント

価格破壊は諸刃の剣ですよね。
正しい評価というものが存在しないオーディオ界において、
暴利を貪る業者はなくなって欲しいと思いますが、ノウハウを
パクって盗作品を安く出し、オリジナルメーカーの体力を
削ぐような状態は回避して欲しいですね。
特に堂々コピー品を出している某大国さんには。

投稿者 rabbitmoon : 2006年7月 9日 20:52

 このヘッドホン自体は非常に手堅くまとまっていると思います。初めて1万円以上のヘッドホンを購入する人にもお薦め出来るヘッドホンです。ただ価格設定が安すぎるような気がしまして.......いや、別段、輸入代理店さんや販売店さんが無理をしているのでなければ良いのですけどもね。
 IT周りの価格破壊というのが結果として、人件費節減=サービス、フォローの劣化につながり、全体としての品質低下を招いたというのが頭にあるので、この価格について気になったのですよ。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月 9日 21:56

まーオーディオは値段の定義が曖昧という事も有り、
色々高級機が槍玉に挙げられたりしますからねぇ・・・、
価格破壊は性能の向上による競争ではないので、
市場を荒らす面の方が強いと思います、
双方の体力を削って相手を先にドロップアウトさせた所で、
残った市場は売れど売れど儲けは出ずに、
生き残った自分も既に瀕死、そんな状況しか生まない気が。

確かに一部の代理店のように、現地価格の倍以上とかになると萎えますが。

自分は企業努力でコストダウンできたら、
コストダウンで浮いた部分を更にパーツや設計に突っ込め、
50万の実力が25万で出来たなら、そんなのはどうでもいいから50万で100万のを作れ、そんなのは(ry
とか考えちゃうタイプなのでとても危険(謎

投稿者 RIK : 2006年7月 9日 22:10

なるほど!
HD580と比較して聴いてきた僕も、
今後のレビューに参考になるようなレビューです(笑)

距離感、遠近感については両者の比較ではよく分かりませんでしたね(;´Д`A ```
SA5000との比較ならすぐ分かるんですがd( ̄  ̄;)☆\(−−

投稿者 ahtoh : 2006年7月 9日 22:17

>IT周りの価格破壊というのが結果として
これについて、私は、経営層からの無理な予算要求、営業の無知な上での何でも出来ますやりますの契約、それに振り回されるSE、あげくに赤字プロジェクト。この構図での品質低下では?と思うのです。
#記事に直接関係無い事で申し訳ない

国内メーカ間での価格破壊は、確かに皆さんが言われるような市場での疲弊・衰退を招く可能性がありますが、代理店経由の輸入品の場合直接の製造元は間接的にしか影響を被らないので、この場合には当たらないかも。

個人的に非難を覚悟で言えば、アパレル関係のブランド品のようなしっかりとした日本法人での販売や代理店制度があっても良いのでは、とも思っています。そうすれば、輸送費+正当な費用以外のぼったくり(ドイツのHPメーカの代理店のような)が無くなるのでは?

投稿者 rx78 : 2006年7月 9日 22:38

お久しぶりです。
Goldring DR150 私も購入いたしました。
それとタオックのラックも購入。
これで、少し、オーディオの足回りが強化できそうです。

投稿者 s.pixy : 2006年7月 9日 22:58

>RIKさん
 まあ、この場合は輸入物なので、高く売る事=制作側にお金が渡る事になりきらないという側面はあるわけですが、それでもあまりに安いと誰かが泣くということには変わりないわけで。
 最近の性能向上というのも難しい側面がある様に思えます。現代的なS/N比の高いオーディオよりも、蓄音機で聴くSP盤の生々しさに感動させられたりもするわけですから。

>ahtohさん
 そのようなお言葉をいただき嬉しく思います。でも、結局は私個人の感想です。装着感なんて特にそうかと。その装着感と遠近感は結びつく様に思えるんですよね。なので、個人差が出るのではないかと思います。

>rx78さん
 その経営層の要求こそ低価格化=競争力の構図を基にしているんだと思うのですが、いかがでしょう?
 輸入代理店さんはもちろん、間接的なわけですが、そこがなくなってしまうと安心して買い物ができなくなるということには変わりないと思います。日本法人をつくること自体を非難する気はないですが、輸入代理店がなくなれば、あまりにもの価格差がなくなるとは一概に言えない様に思います。そうじゃなければ、ブランドものを買うのに海外へなんてことは起こりえないわけですから。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月 9日 23:02

>s.pixyさん
 ソファの件の際にはありがとうございました。あれから少しは家具の事を考える様になりましたよ。DR150とK701の使い分けはどのようにされていますでしょう? お教えいただければ幸いです。タオックのラックも良さそうですね。私もオーディオボードでもタオックは候補になっていたりしたりなんかしたりして。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月 9日 23:11

我ながら文章力が無く、思いが伝えきれずもどかしいです。
確かに低価格化=競争力なんですが、自分の会社は受注・売上の増加が至上命題、その中で予算が達成出来ない状況での安易な値引き・出来もしないシステムの安請け合いが品質低下を招いているという...。あれ、結果的には同じですか。(^^;

日本法人・正規輸入代理店についても、ガンバっているのでしょうが、平行輸入の安い品物を見るにつけ保証の無いバクチはしたくないし、かといって正規品を買うと馬鹿者扱いされる事もありジレンマを抱きつつの発言でした。資本主義とは言え、納得出来る購入がしたい、ただそれでけです。

投稿者 rx78 : 2006年7月 9日 23:45

>資本主義とは言え、納得出来る購入がしたい
 そのお気持ちには全く持って同意します。正規輸入品を買って、馬鹿にされたとしても、そんな事に揺らがない気持ちをもてればいいのでしょうけれど、そこまで大金持ちではないですし、でも、補償が訊かないと聞くと不安になるし。
 納得と安心ができる価格バランスというものが出来上がると良いですね。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月 9日 23:52

>黒川さん
その辺の構図は音楽の利権団体にも言いたかったり・・・、
プライスに納得できるだけの根拠が無い、
てのが今の正規品の置かれた立場でしょうか、
流石に倍はなぁ・・・、車だと何台かクラッシュテストで潰さないと駄目だったりするので、
少数輸入とかで倍額になるのはある話なんですが。

>rx78さん
うちの会社の某部門は、
営業が受注を取る為に製造にコストダウンを強要、
製造部門は品質重視の立場で対立、
結果として営業がクライアントにコストカット出来なきゃ余所に出すよって脅しに負けて低価格で受注、
製造部門が良品率を限界値まで上げても利益が見込めないんでウチがその部門から撤退した後、
そのクライアントが余所に発注掛けたら所定の性能がでなくて、
結局ウチにコストダウン前で発注掛けた時よりコストかかってしまい、
最後には潰れたという奇怪な事例が、
何か無理心中された気分(謎

投稿者 RIK : 2006年7月10日 03:12

DR150で聴くレッド・ツェッペリンやクイーンはいいですよね〜。本当にリファレンスにしたかと思うほど丁度良い音の収まりになっていると思います。
ウチはプレーヤーもIKEMIなので純英国サウンドセットとして愛聴しております。

ちょっと論点がずれるのですが、価格に関して個人的な感覚としては、以前は安さとかコストパフォーマンスに魅力を感じていましたが“高い製品を買った際、そのクォリティに充分に満足できた”という経験をしたことによって、単純な値段よりも製品の質を気にするようになりました。
おかげで私の貯金は、ヘッドフォンにハマってから、止まらない血のようにマイナス成長を続けておりますが(笑)何か「まっとな消費をしている」という感覚があって、それはそれで悪くないと思っています。

投稿者 nina : 2006年7月11日 03:21

>RIKさん
 このあいだ買ったレッチリの2枚組みが新品、定価で2980円でした。脱力した男らしさみたいなものがかっこよく思えましたし、録音も良かったです。かって満足。ちかくにこのブログで良く引き合いに出す人のアルバムがありました。1枚で3000円以上しました。国外のアーティストの方が安いってのは、オーディオなどとは逆で面白いですな。

>ninaさん
 見た目からはクラシック系と思っていたので意外でした。でも、グラドとはちょっと違うロック向きのヘッドホンとして使っていけそうなので内心喜んでいます。
 結局、趣味ですからね。どこまでお金をかけるか、そしてそれに納得するかは本人次第だと思ってはいるんです。SACDを聴くにしたって安く済まそうと思えばユニバーサルで15000円くらいで手に入るわけです。それなのにわざわざ高いプレイヤーをなぜ買うんだといったら、そこに自分の満足があるからだということになるわけですわね。
 なにか、その、ninaさんのおっしゃる「まっとうな消費」以下で、言葉は悪いですが、買い叩くといった具合の感覚が、このヘッドホンの価格にちょっと感じられたのですね。自分も安くなっていたから買ったので、たいしたことは言えないのですが、何かもうちょっと適正な価格みたいなものがありそうに思えたので。

>皆さん
 価格についての件が、こんなに反響を呼ぶとは思いませんでした。やはり、価格というもののバランスについては思うところがある方が多いのだなぁと、再認いたしました。

投稿者 黒川鍵司 : 2006年7月11日 11:42

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