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2007年6月19日

今日のことば

 妹ルイズ・ヴァナン・ド・ヴォランゲムへ、−『北国』の海に向いた彼女の青い尼僧帽(コルネット)。−難破した人々のために。
 妹レオニー・オーボア・ダッシュビーへ。やれやれ、−悪臭を放ち、唸りをあげる夏の草。−女親と子供たちとの発熱のために。
 ルルへ、−悪魔、−覚束ない教育の、『仲よし』と呼ばれた年頃の、おしゃべり癖はまだ抜けぬ。−世の男たちのために。−xx夫人へ。
 かつての俺の青春へ。この年老いた聖者へ、草庵のあるいは布教の。
 貧しい人々の心へ。至徳の僧へ。
 さてまた、すべての礼拝へ。聖地とされた場所に在るがままの礼拝へ。時々の憧憬あるいは俺たちが持って生まれた真剣な悪徳に従って、輪(はこ)ばねばならなかった有態の事件に絡まれた礼拝へ。
 今宵、屹(そび)え立つ氷の上に、魚のように脂ぎり、十月(とつき)の赤夜さながらに赤く染まったシルセートへ−(琥珀の色に燃え立つ彼女の心)。−この極地の混沌よりもなお荒々しい、様々な武勇を忘れ、この常闇の国に倣って口を噤んだ、俺のただ一つの祈願のために。
 何事を賭しても、どんな姿になろうとも、たとえ形而上学の旅にさまよおうとも。−いや、そうならばなおさらのことだ。
ランボオ作/小林秀雄訳「地獄の季節」(岩波書店)114〜115ページ

投稿者 黒川鍵司 : 2007年6月19日 22:47

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