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2009年9月20日

Rayさんのご自宅のシステムをお聴かせいただきました。

 オーディオ関係の今年の予定を書いた記事で、「今年最大の目標。」とさせていただいた、Rayさんのシステムをお聴かせいただくことができました。

 最寄り駅で待ち合わせをして、お宅に向かったのですが、道すがらに蓮畑がありました。この季節ですのですっかり実になっていましたが、花の時期にここを通ったら、立ち止まって眺めてしまうだろうなぁ、などと思いながら、閑静な住宅地をさらに歩いていくと、今度は薔薇が印象的なお宅が。それがRayさんのお宅でした。

 玄関を上がらせていただいた瞬間、私の足がある場所を思い出しました。以前、うかがった音楽カフェ Blossomさんです。あのお店の踏み心地に非常に似ています。あちらの建物についてはサイトにも記事があり、コンクリートの基礎にほぼ直接、床材が乗っているというものでした。後ほどRayさんにお話を伺うと、Rayさんのお宅も、ほぼ同じ構造のよう。私の足の記憶もまんざらではないようです。

 玄関を右に曲がると、そこは夢のような世界でした。広い空間に、大型ウーハーとホーン型のスピーカーが鎮座する姿は、高級オーディオ店の試聴室といった具合です。その他の機器も素晴らしいものばかり。その中に、以前私が使っていた真空管アンプを見つけて、心の中で喜んだりしつつ、オーディオルームと美しい柱とアーチで仕切られたお部屋でコーヒーをいただいたのですが.......目の前にピアノが二台並んでいます。アップライトのピアノが並んでいるのなら、わざわざここに書きません。グランドが二台並んでいるのです。それも一方はベーゼンドルファー......。

 コーヒーをいただきながらお部屋のことを伺うと、二つの部屋をあわせると28畳ほどで、本来は一つの部屋とされたかったそうですが、建築基準法の関係で、現在のようなアーチで緩やかに仕切られた二つの部屋となったとのこと。そのような事情で導入されたものと聞いても、このアーチの緩やかなカーブは、この二つの部屋を結ぶ良いシンボルとなっているなぁなどと心の中で呟いておりました。  

 と、おうちのことばかり書いていては試聴記になりません。いつもどおりシステムの紹介です。

CDトランスポート:ESOTERIC P0s-VUK
DAコンバータ:ESOTERIC D-70VU
SACDプレイヤー:MARANZ SA-12S1
クロックジェネレータ:INFRANOISE ABS7777
アナログプレイヤー:Michell Engineering GyroSE-UNV1
カートリッジ:GOLDRING ELITE
昇圧トランス:逸品館 J'S 5471
フォノイコライザー:TRIODE TRV-EQ3
プリアンプ:Mark Levinson 326S
パワーアンプ:McIntosh 2102
AVアンプ:Victor AX-V8000
スピーカー:Exclusive 2402
スーパーツィーター:MURATA ES103A
サブウーハー:SALOGIC SPD-W4
センタースピーカー:B&W 805 x2
センタースピーカー用パワーアンプ:AUDIO SPACE AS-6M x2
リアスピーカー:Sonus faber Grand Piano Home
リアスピーカー用パワーアンプ:TRIODE TRV-M300SE

 その他にもモノラル用アナログプレイヤーやPC用のオーディオ機器もおありです。詳しくはRayさんご本人の記事をお読みください。

 聴かせていただいた瞬間に耳が行くのが低域です。真空管と大型ウーハーのシステムにありがちなブーミーさはなく、それでいて細身にならなず、濃さを保っています。定位を強く感じさせるというタイプの音ではないのですが、かなり低い方の音まで位置は明瞭です。おそらく、McIntoshのパワーアンプ、サブウーハー、スーパーツィーターそれぞれの効果があいまった結果でてくる音だと思います。このような力強い低域があっても、部屋がそれに負けません。ですので、ダイレクトに音が身体に伝わってきます。

 情報量もかなりのものなのですが、それが突出して神経質さに結びつくような部分は皆無。むしろ豪快に音が飛んでくるという印象です。これは部屋の強固さはもちろんのこと、スピーカー背面をレンガで固められていることと、サーロジックのボードによるものでしょう。前日に聴かせていただいたFCAさんのシステムとは好対照といって良いでしょう。そのどちらもが良く思えるのですから、オーディオというのは不思議ですね。FCAさんのシステムが「浸る音」だとしたら、Rayさんのシステムは「のる音」でしょうか。熱く、こちらを突き動かす音ですね。

 このように書いていると「乱暴な音」という印象を与えてしまうかもしれません。しかし、例えば、子供たちの合唱などを聴くと、等身大の、それぞれの子供たちの口の開き方、表情まで見えるような音像を描いてくれます。このような情感も描いてくれることがわかりましたので、持参した伊福部昭の曲をかけていただくと、ホーン型なのですから当然なのかもしれませんが、トランペットはもちろん、その他の管楽器が晴れやかに鳴り渡りますし、打楽器と弦楽器には雄壮さ、そして、その裏側にある悲壮さを迫るように見事に再生してくれました。

 抽象的な表現が許されるのであれば、熱く、濃く、血の滾る、そして血のかよった音という表現になるでしょうか。これに近い音というと、あるお店で聴いたGlass Master SDー2を4台使って駆動したDD66000を思い浮かべますが、情感という部分ではRayさんのシステムが圧勝です。20数年使い続けたというExclusive 2402だからこそ出る音なのでしょうね。

 また、今回は2チャンネルの録音のみならず、マルチチャンネル、DVDの試聴もさせていただきました。その中では、聴きなれているはずのピンク・フロイド「狂気」が、「むしろこっちが真なのではないか?」と思わせる姿を見せてくれました。楽器の音が、効果音が、人の声が、縦横無尽に描かれます。「やっぱり、私もマルチをやるべきなんじゃなかろうか」と頭を抱えなければならなくなるほどの見事な姿でした。そして、それぞれのチャンネルに当てられたスピーカー(どれもそれだけで十分メーンスピーカーとなりうるもの)が、それぞれのユニットの形式の差を感じさせず、一体となっているのは、さすがです。Rayさんはこともなげに「上手く馴染んだ」とおっしゃっていますが、ここには相当の努力が隠されているのではないかと思います。

 CD、SACD、アナログ、SACDマルチ、DVDマルチといずれも、本当に高レベルなものでした。それでいて、いずれにもRayさんらしさ、その血のかよった感覚が存在していることは、羨ましい限りです。「今年最大の目標」とさせていただいたことに誤りはなかったとの確信が聴く時間とともに増していく、そんな試聴でした。

 そんな素晴らしい試聴の後、食事もお誘いいただいたのですが、当方、そのあとに予定があり、泣く泣くお断りをしなければなりませんでした。事前にその旨をお伝えできておらず、奥様にもご迷惑をおかけしてしまいました。この場で、再度、謝らせていただきたく思います。申し訳ございませんでした。

 また、次回、お会いする際には、もっとゆっくりとお話もさせていただければ幸いです。今回は本当にありがとうございました。

投稿者 黒川鍵司 : 2009年9月20日 17:46

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