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2010年8月23日

The Little Big Phono(音質レビュー編)

 前回、外観のレポートをお届けしたThe Little Big Phonoだが、今回は音の傾向について書かせていただく。
 
 なお、フォノイコライザー以外の使用した機器は以下の通り。
 
・アナログプレイヤー
Amazon/System Amazon2
DSCN1282.JPG
 ・カートリッジ
Benz Micro/GLIDER SL
DSCN1284.JPG
 ・プリアンプ
Cello ENCORE 1MΩDSCN1286.JPG
 ・パワーアンプ
Cello ENCORE POWER MONO
DSCN1287.JPG 
・スピーカー
CHARISMA+CHARA COMPLETE SYSTEM
DSCN1288.JPG 

 ちなみにフォノケーブルは、先日までNordost HEIMDALLを使用していたが、購入したお店で20cmのフォノケーブルを作成いただいたので、現在はそれを使用している。このケーブルについての詳細はこちらを確認して欲しい。
 
 このケーブルを使用した結果、The Little Big Phonoは以下のような置かれ方をしている。

DSCN1271.JPG なお、このような置き方の場合、問題が一点ある。The Little Big Phonoの本体部は、触れなくなるというほどではないが、かなり発熱する。筐体がアルミニウム製なのは、審美的な意味合いだけでなく、その熱伝導率の高さによるヒートシンクとしての意味合いが大きいと思われる。また、このフォノイコライザーには、電源スイッチがない。電源を止めるには電源コードを抜くしかない。これは「常時電源を入れて使用せよ」、ということを暗に示しているのだと思うが、そのような使用方法を考慮しても、空気の対流がまったく起きない、プレイヤー本体と密着してしまうような置き方は避けるべきだろう。
 
 今回の評価に当たっては主に以下のレコードを聴いた。
 
・伊福部昭「ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ」(若杉弘指揮/読売日本交響楽団)
・ストラヴィンスキー「ペトリューシュカ・火の鳥」(クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団)
・John Coltrane「Selflessness Featuring My Favorite Things」
・PINK FLOYD 「DARK SIDE OF THE MOON 30TH ANNIVERSARY EDITION」
・久保田早紀「夢がたり」
 
 クラシックから聴き始めたのだが、まず気がつかされたのは金管楽器と弦の鮮やかさと切れ味の見事さ。次に音の前後のレイヤー感の明瞭さ。グランカッサやティンパニーの一撃も鮮度、沈み込みとも良好で力感が伝わってくる。木管楽器では、音のゆれの表情が豊かで、奏者の息遣いを感じられ、ソプラノサックスでも、その大きさ、指使いが見えそうな気がしてくる。女性の声も、単に綺麗だとか、透明感があるというだけではなく、甘みのようなものが表れる。「甘み」が特徴かと思って聴いていると甘みだけでなく、ドスの効いた暗さも出てくるので脅かされもする。ピアノなども軽やかなときはサラりと軽やかに、重みがあるときはどんよりと重くなる。いずれの音も鮮度が高さを感じるのだが、その鮮度が高域においてヒステリックな響きに結びついたりすることがない。あくまでスムースであり、それはEINSTEIN社のアンプ類にも通じる感覚がある。
 
 左右のセパレーションの良さに基づく定位感の盤石さ、S/Nの良さは、モノラル構成&外部電源という構造上、言うまでもないことだろう。情報量についても「まだこのレコードから引き出せるものがあったのか」と思わせられるレベルだが、単に微視的・分析的な音になることがなく、作り手が音楽を受け止め、楽しさも不穏さも積極的に表現しようとしている姿勢を感じる。しかし、これはある種の色付けだとも言える。実際、当方が使用しているプリアンプの内蔵のもの、もしくは店頭で比較対象として聞いたAMPHIONのフォノイコライザーの方がレコードへの忠実性は高いのではないかと思わされる部分はあった。
 
 色づけがあると言っても、いわゆる「濃厚な音」を聴かせるタイプではない。基本的には現代的な、ワイドレンジで、瞬発力があり、反応の速いフォノイコライザーだといえる。しかし、単に現代的なだけでなく、作り手のセンス、音楽の情感を聴かせようとするセンスが感じられるフォノイコライザーでもある。この色付けを否定するか、むしろ歓迎するかは聞き手の好みだろう。私としては、このフォノイコライザーの作者に対して「よくわかってるなぁ」という言葉を送りたい。
 
 このフォノイコライザーの定価は32万円(税別)となる。アナログレコードを聴くためだけに存在する機器に対して、この価格を妥当とするかどうかは、価値観の問題になってしまうが、私には、安いとは到底いえない。しかし、確かに、私が聴く限り、安価なフォノイコライザーとは一線を画する部分があると感じたのも事実だ。アナログレコードの再生に何かしらのこだわりをもつのなら、支払ってみる価値はあると思う。この価格帯で、このフォノイコライザーのライバルであろうものを探すとNAGRA BPS、LINN UPHORIKが浮かぶ。いずれを購入しても満足できると思う。あとはユーザ側の好み、音に対してもそれももちろんだが、他の機器とのマッチング、それも外観のマッチングといったことも含めた好みで選ぶということになるだろう。私のシステムにおいては、The Little Big Phonoは外観的にも、機能的にも、加えて私の音への嗜好的にもマッチしたといえ、このようなフォノイコライザーに出会えたことに感謝している。

投稿者 黒川鍵司 : 2010年8月23日 22:36

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コメント

黒川さん こんばんは。
初カキコです。 昨日はまたまたダイナでバッタリの
Jyajyaoです。
やっとブログやら書き出しました。黒川さんの名前事後報告ですが
書いちゃいましたんで...
今後ともよろしくお願いします。。

投稿者 Jyajyao : 2010年8月29日 22:44

 Web上でははじめまして。
 あのトランスは私も惹かれたのですが、アクセサリーとしては高価過ぎて……。
 オルフェウスのアンプ類は何か不思議な感じでした。6Fでしばらく聞いてみたのですが、確かに綺麗で、滑らか、でも掴み所が見えないというか。時間がたつとまた変わるのかも知れませんね。

投稿者 黒川鍵司 : 2010年8月31日 13:56

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