2010年12月26日
Wadia Digital DM-X32
思い出話から始めよう。WadiaのDACを初めて知ったのは、まだ私がヘッドホンをメーンとしていたころのこと。その頃のヘッドホン仲間がWadia12を購入したときだ。あの時聞いた、レンジは狭く、情報量も多いとはいえないが、圧倒的に骨太という音の魅力は、私の中のWadiaのイメージを決定付けるものだった。その後、私はスピーカーメーンのシステム移行していくわけだが、Wadiaのあの音はいつかシステムに組み込みたいと、常々思っていた。なんどか導入のチャンスはあったのだが、WadiaのDACはそのブランドイメージによるのか、比較的古いものでも価格が落ちにくい。そうして見送っているうちに4年。やっとWadiaのDACが手元にやってきた。
やってきたのは1991年発売のWADIA DM-X32(Digimaster X32)。先ほどのWadia12が1994年の発売なので3年ほど古い機器になる。発売当時の価格は税抜きで48万円。母体となったDIGIMASTERX-64.4が135万であったことを考えると、半額以下ということになるが、それでも高額であったといえると思う。ちなみにWadia12であっても24万8千円した。私の中のWadia12のイメージが強すぎたせいか、DM-X32もWadia12と同サイズと思い込んでいて、メーンのシステムではなく、テレビ用のシステムに組み込むことを想定していた。実際受け取って、大きさがわかってからも、テレビ用のシステムに接続したのだが、1週間ほど様子を見てメーンシステムに組み込むことにした。理由は、JBL 4312MIIにはオーバースペックと感じられたからだ。
テレビ用のシステムに組み込んだときも、当初はいわゆる「眠い」音だった。太さはあれど明確さはなく、楽しさもなかった。2日ほどで楽しさが感じられ始め、まともかな? と思えてきたのは1週間後だった。その後メーンにつないでみると、楽しさよりも濃密な音でありながら定位が恐ろしく明確なことに気がつかされた。まるで、画鋲で、いや、釘で打ちつけたようにかっちりとした定位だった。その定位のスクウェアな感じが少し薄れて、音に力と勢いを感じるようには、もう1週間かかった。寝起きが遅いとは言われていたが、ここまでとは思ってもみなかった。きっと、これで本調子なのではないかと思う。
スペックについて簡単に触れておこう。サイズは幅445mm、高さ68mm、奥行き360mmで、いわゆるオーディオ機器としてはフルサイズ。重さは6.5kg。出力はRCA出力が1系統のみ、デジタル入力は同軸(BNC)が2系統と光学入力が1系統あり、後者はTOSとSTを選べたとのこと(さもえどさんの情報提供に感謝いたします)。当方の手元のものはST仕様となっている。
さて、今の音について書こう。中低域の厚みは、確かに記憶の中のWadia12と一致するが、あのときの音ほど高低のレンジが狭いという気はしない。確かに、QBD76などと比類するとは言えないが、シンバルなどの音は立ち上がりもよく、かなり上手く表現してくれるし、金管楽器の勢いも出してくれる。また、中低域の厚みという特徴は、このDACのもうひとつの特徴である力強さ、勢いと結びついて、一種の暗い熱気とでもいうようなものを生み出してくれる。ミック・カーンの「Dreams of Reason Produce Monsters
IKEMI導入以降、メーンシステムに外付けDACを導入するなら、音に冷たさを持ったものを、と言ってきたのだが、やってきたのはWadia。どうにも奇妙な気がしてならないが、こういうのもオーディオ機器との出会いというやつかなという気もしないでもない。そして、私はこの出会いに満足している。
投稿者 黒川鍵司 : 2010年12月26日 22:26
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.ashrization.com/x/admin/mt-tb.cgi/691
コメント
ヘッドフォンの頃・・・もう4年経つんですね。何だか凄く昔のことの様な。(笑)
黒川さんのシステムにWadiaは確かに少し異質な感じもしますが、どうなるのか興味深いですね。
投稿者 ゴーヤ : 2010年12月27日 11:28
黒川さんこんにちは。
celloにCHARISMA+CHARAのコンビだと瑞々しくふわりというイメージなのですが、レビューを見ると相当DACの支配力が強いのでしょうか?
やっぱり『wadia』なんでしょうか?
聴いてみたいですねぇ・・・
投稿者 デーンちゃん : 2010年12月27日 16:43
>ゴーヤさん
そうなんですよ。もう4年。すっかり、ヘッドホンの使用率は落ち込んでおります。
はい、自分でも意外です。WadiaはJBL用に、メーンではゴールドムンドか、オルフェウスの1UシリーズのDACなんて思っていたのですけれど、聴いてみるとメーンに組み込みたくなってしまって。
>デーンさん
いや、あくまで比較なんです。CHARISMA+CHARAが4344や、エレクタ・アマトールになるわけじゃないです。DACにそこまでの支配力はないと思います。これもケーブル類のようにスパイスのひとつかもしれないですね。実際、今回の購入価格は高級インターコネクトケーブル並みですし......。
投稿者 黒川鍵司 : 2010年12月27日 20:32

コメントする